幸せの栞 (第1回)

「人参ジュースに魅せられて」 - 下平さゆりさん(佐賀県武雄市)
聞き手:小作人(耕作再生地管理人)田中 欽二
聞き手:小作人(耕作再生地管理人)田中 欽二
雪と小雨の降る中を自然豊かな佐賀県武雄市山内町の下平農園を訪ね、 奥さんのさゆりさんにお話を伺うことができました。 ご主人の下平寅義さんは40歳で山内町にUターンし、農協の指導のもとでチンゲン菜を生産されていたが、 赤峰勝人氏(大分県)の循環農法を学び、現在は水田1haでは米、麦、大豆、ソバを、畑50aでは少量多品目(50~60種)の野菜を生産されている。

幸せの栞:写真(1)-下平さんご夫妻 幸せの栞:写真(1)-下平さんご夫妻 幸せの栞:写真(1)-下平さんご夫妻
さゆりさんと寅義さんとの出会いは9年前に人参ジュースを飲み、7年前に人参畑で出会い、 3年前に結婚し、29年間勤めていた保育士を辞めて、昨年から百姓を始め、母親がふるさとを離れた我が子に手作りの品物や野菜を送る感覚で、 お客の顔を思い浮かべながら、露地で旬の野菜にやさしい言葉を語りかけて、市場価格に左右されずに箱詰めし、発送、配達しておられる。
借地しておられる畑の近くに古民家を借りて、味噌づくりや海外からの農業体験者(WWOOF)を受け入れておられ、 取材の日にはスコットランドの女性と一緒にさゆりさん手作りの昼食をいただきながら、スコットランドと日本の生活の違いなどを語り合った。

幸せの栞:写真(2)-スコットランド農業体験者と3人で 幸せの栞:写真(2)-スコットランド農業体験者と3人で
豆腐づくりは月2回(第2、4金曜日)で、材料はすべて自家製(米、麦、大豆)であり、 町外にも出張して豆腐づくりの研修を行っている。 オアシス会(おいしい、あんしん、しあわせ、すこやか)の活動は、 月2回の畑作業の中でのおしゃべりや交流を通して宅配の方々との絆を密にし、 収穫祭(11月)、野草会(4月)、イベント(オーガニックマルシェや映画祭など)での野菜や人参ジュースの販売などである。 取材してみて、さゆりさんの夢(自給自足の生活、住居、衣服などを昔の生活に戻したい、 有機農業の実践者を広げるなど)を実現するための情熱は並々ならぬものがあり、 行政などが推し進める6次産業化を先取りされており、小規模(家族経営)でも生きていける農を実践されておられ、 田舎暮らしの豊かさと幸せを感じた旅でした。
幸せの栞:写真(2)-スコットランド農業体験者と3人で